ユーイング肉腫

ユーイング肉腫について、原典を通して知るためのブログ

第三の選択肢 化学療法

毒がもたらした光の兆し 1967年、アメリカ、ニューヨーク。Dr. PhillipsとDr. Higinbothamによる臨床報告です。"The curability of Ewing's endothelioma of bone in children."(小児におけるユーイングの骨性内皮腫の治癒可能性)。1949年から1959年の間、…

ユーイング肉腫はマゼンタ色に染まる

ユーイング肉腫は砂糖好き? 病理学的腫瘍診断で、光学顕微鏡を用いた、腫瘍組織と細胞の形態観察が主流であった時代、病理医には、職人的観察眼と鋭敏な「みる」センスが求められたものと想像されます。この形態観察は、現代でも病理学的腫瘍診断の基礎とな…

ユーイングの肉腫 再考

ユーイング肉腫は存在するが、 Dr. Willisらによって疑わしいとされたユーイング肉腫の実在。彼らの主張によれば、それまでユーイング肉腫と(臨床的に)診断されてきた腫瘍は、実は既に知られている別種の腫瘍が転移したものであり、Dr. Ewingにより提唱さ…

幻の腫瘍?

ユーイング肉腫は存在しない? 1933年、メルボルン、オーストラリア、ColvilleとDr. Willisによる共著です。"NEUROBLASTOMA METASTASES IN BONES, WITH A CRITISISM OF EWING`S ENDOTHELIOMA"(神経芽腫の骨転移、ユーイングの内皮腫への批判)。この論文、…

Quis es?

何者か? さて、元の時代に戻りましょう。Dr. Ewingが、その特異性を指摘した、骨に発生する未分化円形細胞肉腫、骨のびまん性内皮腫、または骨の内皮性骨髄腫、即ちユーイング肉腫ですが、実は彼の最初の報告から現在に至るまで、明らかにされていない謎が…

忘却の彼方より②

時代が早かったとか遅かったとか、そんなことはどうでも良いのさ。 引き続き時代は遡り、1890年、ゲッティンゲン、Dr. Hildebrandによる報告です。"Ueber das tubuläre Angiosarkom oder Endotheliom des Knochens."(骨の管状血管肉腫または内皮腫につ…

忘却の彼方より①

一体何を探しているんだい?我らを振り返ってみたまえ。 時代は遡ります。1866年、ベルン、Prof. Dr. Albert Lückeによる論文です。"Beiträge zur Geschwulstlehre: IV Ueber Geschwülste mit hyaliner Degeneration."(腫瘍学への寄稿:四 硝子変性を伴…

ユーイングの肉腫

確信があるかどうかは、君自身にしか分からないものさ。 1924年、Dr. Ewingは、前回と同じ専門雑誌に、更なる報告を重ねます。"FURTHER REPORT ON ENDOTHELIAL MYELOMA OF BONE"(骨の内皮性骨髄腫に関する更なる報告)。前回の論文で使われていた、Endo…

名前はまだない

網にしろアンテナにしろ意地にしろ、ただ張っていれば良いというわけではないのさ。 1921年、アメリカ、ニューヨーク市。奇しくも(?)Dr. Stoutによりなされた発表と同じ地、同じ専門雑誌に、その論文は報告されました。"DIFFUSE ENDOTHELIOMA OF BONE…

始まりは静かに

大切なのは、知りたい人に伝えるということなんだよ。まずは書くことさ。たとえ今は、知りたい人がいないとしてもね。 1918年、アメリカ、ニューヨーク市。Dr. Arthur Purdy Stoutにより、簡素なタイトルを冠する一本の論文が発表されました。"A TUMOR O…